オゾンの効果や作用
本来、「効果」とは「良い結果」や「望ましい結果」を意味する言葉です。
一方、「作用」は「力を他に及ぼして影響を与えること。またその、力の働き」を意味し、良い・悪いは関係ありません。
検索エンジンの検索窓に「オゾン 効果」と入力すると、「毒性」というキーワードがサジェスト(予測表示)で表示されることから、オゾンの効果を調べている方はプラスの効果だけではなく、マイナスの効果についても詳しい情報を求めていることが分かります。
そこで、この記事では、良い結果や望ましい結果を表す「効果」だけではなく、どのような影響を与えるのかという「作用」や「毒性」についても分かりやすくまとめたいと思います。

この記事を読んで分かること

オゾン消臭除菌の仕組みやオゾンの良い面・悪い面。効果だけではなく、作用や毒性を含め、オゾンの特性が1セットで理解できる。

オゾンにはこんな効果があります

一般の方々にとって「オゾン」はあまり馴染みがなく、「オゾンって、あのオゾン層のオゾン?」と思う方もいるでしょう。
はい、あのオゾン層のオゾンのことです。
オゾンには、さまざまな効果があり、一般の方々が目にしないだけで、衛生環境の改善等に実は大きく貢献しています。
ホテルや旅館等の宿泊施設の客室や中古車の車内清掃に利用されたり、一般のご家庭の室内脱臭、飲食店の悪臭対策、意外と知られていないのが救急車等の緊急車両にも衛生面の観点からオゾン発生器が装備されています。

このように私たちの生活に「安全」や「快適」をもたらしてくれるオゾンですが、その効果についてあなたはどの程度ご存知でしょうか?
ここではオゾンの持つ代表的な効果をいくつか紹介します。
 

除菌(殺菌)効果

除菌(殺菌)効果
オゾンが持つ代表的な効果と言えば除菌や殺菌効果です。
オゾンの除菌・殺菌のメカニズムを簡単に解説すると、菌の核を守る細胞膜とオゾンが結合し破壊することで核を消滅させます。

なぜ細胞膜と結合し、破壊することができるのか?

それはオゾンの持つ性質に隠されています。

オゾンは酸素の同素体(酸素と同じ元素だが、元素の結合方式が異なる物質)で、酸素原子が3つ結合した物質(O3)です。

自然界に存在する酸素原子(O)は、酸素原子が2つ結合した酸素(O2)として安定的に存在します。
しかし、オゾンの場合は、3つの酸素原子が結合した物質であり、酸素と異なり非常に不安定な状態で存在します。「不安定」とはどのような状態を表すのかというと、3つのOの内、1つのOが他の2つのOから常に離れようとするのです。この1つのO(酸素原子)が、他の元素と結合しやすく、それは何を意味するのかというと、3つの内の1つのOが菌やウイルス等の悪臭原因と結合して、菌やウイルスとともに消滅します。3つの内の1つのOが菌やウイルスとともに消滅するわけですから、そこに残ったのは2つのO。つまり「酸素(O2)」のみとなります。

これが「除菌」や「殺菌」という効果になって現れるという仕組みであり、「除菌・殺菌後、オゾンは酸素に戻って完全無害化する」の仕組みになります。

 

脱色効果

脱色効果
© かわがらす
オゾンには、脱色効果もあります。
「脱色効果なんてどこで使うの?」と疑問の声が聞こえてきそうですが、実は工業や生活上における水処理、衣類などの繊維工業と幅広く活用されているのです。
ダンボールや紙製品等さまざまな用途に利用されています。
たとえば、2017年にユニ・チャームが大人用の使用済み紙おむつから原料のパルプを取り出す技術を開発しました。オゾンで滅菌・漂白する仕組みで、厚生労働省の衛生基準を業界で初めてクリアしたことで業界では話題になりました。
使用済み紙おむつのオゾン処理前と後のパルプ比較
使用済み紙おむつのオゾン処理前と後のパルプ比較(© ユニ・チャーム)

上の動画はオースリークリア3という業務用オゾン発生器による脱色実験動画です。
実験内では、2つの500ccビーカーにそれぞれ水道水を入れ、片方のビーカーにインクを垂らしています。
インクを垂らした方のビーカーにオゾンを放出すると、約15分程度で脱色が完了していることが分かります。

一昔前までは、排水処理を施して水を再利用することは極めて困難でした。
もちろん、不可能ではありませんでしたが、その施策にかかる時間やコストを考えるとあまり現実的な話ではありませんでした。(そのため満足のいく浄化率ではなかった)
しかし、令和元年現在では、オゾンに関する技術が進歩し、低コストで着色された水や汚水をオゾンと反応させることで、純度の高い水を生成し再利用することができるようになりました。
また、繊維に関してはオゾン漂白協会がオゾンによる漂白を推進し、温室効果ガスCO2の削減を目指す運動を行っています。
 

脱臭効果

オゾンは脱臭効果も持ち合わせており、主に介護の現場や水道水源に活用されています。
特にオゾンによる脱臭効果は、除菌(殺菌)効果と同様にニオイ菌に酸化することで発生するため、ニオイの元となる菌を殺菌することで脱臭効果が得られるます。
そのため、菌の繁殖によるニオイだけでなく、人の放つ加齢臭や介護臭(排泄臭や体臭など)にも絶大な効果を発揮するのです。
 

分解効果

オゾンの分解効果は、オゾンの持つ強力な酸化効果により発揮されます。
オゾンと結びついた物質は、正常な状態(すなわち酸化前の状態)での性能を発揮することはできません。

例えば、私たちの周りでも鉄製品が酸化して錆びてしまっては、酸化前の状態と同等の性能を発揮することはできませんよね?

それが有機物であろうと無機物であろうとオゾンにとっては関係ありません。
オゾンと結びついた物質は、酸化した鉄製品と同様に、本来は機能するはずの効果が機能しなくなります。
菌の核を覆う細胞膜が良い例です。
オゾンによる酸化によって、細胞膜は本来の機能を発揮できなくなり、その結果として分解されるのです。
 

野菜や果物の鮮度保持効果

オゾンの効果として、除菌効果や脱臭効果以外にも野菜や果実の鮮度保持効果もあるのです。
鮮度保持となると、これまで紹介したオゾンの効果とは真逆と思う方もいるかもしれません。
ところが、決して真逆ではないのです。
では、鮮度保持効果の秘訣とはなんだと思いますか?

オゾンには強い酸化力を持っていますが、この作用が野菜や果実から出る「エチレン(※)」を分解することで鮮度保持効果が期待されるのです。
これまで紹介した除菌(殺菌)効果や脱臭効果と同様のメカニズムですね。

鮮度保持対策として一般的なのは冷蔵庫や野菜室にいれることですが、スーパーなどの販売所では、冷蔵庫や野菜室にいれることは難しいものです。

そこでオゾンによる鮮度保持が効率的で手間もかかりません。

※エチレンとは、植物ホルモンの一種で植物が成長するために必要不可欠なもの。しかし、エチレンは野菜や果実を収穫した後も継続して放出されるため、自身(野菜や果実)を傷める原因になっています。
 

ゴキブリなどの害虫忌避効果

害虫に悩まされている方であれば、これほど嬉しい効果はないことでしょう。
オゾンには害虫忌避効果の期待も高いのです。

多くの害虫は自身が発するフェロモンやご飯カスのニオイなどに集まる習性があります。

オゾンはフェロモンもご飯カスのニオイも分解するため、ゴキブリなどの害虫を遠ざける(忌避)効果があるのです。

注意したいのは、オゾンにはあくまで忌避効果があるのみで、殺虫効果はありません。
また、卵の状態で孵化を防止する実験を行った企業もありますが、大した効果は得られなかったとされています。詳細は以下のリンクをご覧ください。
 

その他の効果

その他の効果として、医療や農業にもオゾンの活用性が示唆されています。
医療面では、人に対する効果として、感染症や皮膚症、がんの補助的療法などに対して有効性が示され、獣医学の分野では、主に猫や犬に対してがんへの効果が見込まれています。

農業に関しては、農薬の代わりとして用いられます。
そしてオゾンと農薬とで大きく異なる特徴が残留性です。

農薬は一度噴霧するだけで、農作物に付着したままになってしまいます。
その一方でオゾンは農作物に残留しない(酸化し分解する)ため、除菌効果としても活躍しているのです。
 

オゾンにはこんな作用があります

オゾンの効果が最大限発揮されているのは酸化作用のおかげなのです。
ここでは酸化作用について、改めておさらいします。
 

酸化作用

オゾンは、3つの酸素原子が結合した物質(O3)であり、酸素よりも不安定な状態で存在しています。
不安定なオゾンは安定している酸素(O2)へと戻ろうとするため、他の元素と結合しやすい状態になっています。
3つの原子のうち1つの原子が他の元素と結びつく、酸化作用が起こるのです。

しかも、オゾンの酸化力は塩素の約6倍と言われており、フッ素に次ぐ酸化力を持っているのです。
 

オゾンの毒性について

これまで紹介したオゾンの効果と作用は、どの効果も魅力あふれるものです。
しかし、どの効果も正しく扱うことで得られる産物であり、誤った利用方法は逆に利用者を苦しめてしまいます。

その一例として、オゾンが人体に与える影響(毒性)について紹介します。

オゾンが強い酸化力を持っていることは既に紹介した通りですが、実はこの強い酸化力が時に人体に影響を与える毒となりうるのです。

具体的に紹介すると、鼻腔・喉・気管・肺などにオゾンが流入すると表面が酸化されてしまいます。
酸化されることで、臭気・刺激・咳・頭痛・眠気・胸部圧迫感などの症状が発症します。
これらの症状はオゾン濃度が0.5〜2ppmの場合に発症する可能性が高いです。

また、オゾン濃度が高濃度下(5〜10ppm)である場合は、脈拍の増加や麻酔症状が現れ、オゾン濃度が50ppmに達する場合は、人が1時間で生命危機に陥る濃度となります。

オゾン濃度や人によって発症するタイミングは異なりますが、原則として以下の事に気をつけてオゾンを扱いましょう。

  • オゾンが発生している付近には近寄らない
  • 止むを得ずオゾンの付近に近寄る場合は、長時間の滞在は避ける
  • オゾン濃度を常に計測し一定値を超える場合はアラートを放出するなどの対策をとる
  • 万が一発症した場合に備え、発症後の応急処置を把握する

もちろん、発症しないような環境を整備することもオゾンを利用する上で忘れてはいけません。
 

まとめ〜オゾンを正しく理解し最大限に活用しよう

今回はオゾンの効果や作用、毒性について紹介しました。
私たちの生活をより安全に、より便利にしてくれるオゾンですが、使い方を誤れば人体に仇なす有害な物質へと姿を変えます。

便利であるからこそ、決して軽々しい気持ちでオゾンを扱ってはいけない、ということを胸に刻んでおく必要があるのです。